西の魔女が死んだ
NHKドラマ『ハゲタカ』を見て以来、大森南朋がいい
って思っていて半分ミーハーで映画『西の魔女が死んだ』を見に行ってきた。ところがミーハー気分を覆すように、この映画すごくよかった。(これから見に行く人は読まないほうがいいかも。↓)
不登校になった中学生のまいは母方のイギリス人のおばあちゃんに預けられ、ジャムを作ったり、洗濯したり、庭仕事を手伝ったり、毎日の生活の中で心を開き自分を取り戻していく。そんなある日、おばあちゃんの隣人ゲンジさんに不快感をもっていたまいがついに感情的に「あんな人死んじゃえばいいのに!」と言ってしまい、おばあちゃんは手を上げてしまう。そしてまいは反抗的な心をそのままおばあちゃんにぶつけてしまい、そのまま数日後心にわだかまりができたままおばあちゃんと別れて来てしまう。
まいは自分の取った態度やかたくなな心が、どれだけおばあちゃんを苦しめ、悲しませ、打ちのめしてしまったかわかっていると思う。でも取り繕うことができない複雑な気持ち。
自分を愛してくれるおばあちゃんを傷つけてしまった罪悪感。にっこり笑えば元に戻るかもしれない、と思うけど、そうできない。そして実際、そうしたところでもう心のわだかまりがなくなることはない。それでもおばあちゃんは自分を愛し続けてくれることもわかっている。おばあちゃんにひどいことした自分。ずっと消えない罪悪感。
相手がおばあちゃんじゃないかもしれないが、そんな経験って多かれ少なかれみんなあるんじゃないかと思う。
理不尽に怒ったり、感情的になったりせず、すべてを受け入れ、優しい言葉で諭してくれるおばあちゃん。そして心癒される森の中のお家。あまりにもできすぎたシチュエーションはおとぎの国のようで、さすが児童文学の世界だとは思った。でも、まいの心の揺れはみんな誰でも経験したことのあることだと思う。
私はおばあちゃんの気持ちではなく、まいの気持ちに同調してところどころ切なくて泣いてしまった。ネットのレビューを見ると男性には不評気味なのは、女性的な感情なのかもしれない。
おばあちゃんとの本当のお別れがきたとき、まいはおばあちゃんの愛情を感じ自分の気持ちにも素直になれる。悲しいけどあたたかいラストだった。
穏やかな映画だけど飽きずに見られた。
2008/7/5 23:41